本当はさ。
もう続けなければならない理由がないんだ。
-phonetic code-
せ=(world)
+
(綺麗ねえ)
偶然なのか、あるいは必然なのか。
どちらであるかを考え、答えを出す意味、意義はもうとっくに残っていないように思えた。
そもそも、この世界はあまりものだった。
先に住んでいた人たちが我先にと、綺麗なものや役立つものを散々に奪っていって
自分たちだけ逃げていって、その後もっと酷いことが起きて,いまここに残っているのは
耐性を持ったごくわずかな人間だけだった。
その耐性というのは、ひたすらに、悲しみに対するものだった。
+
綺麗だとその存在が言ったので少年は返答した。
「そうですね。あの人も見に行きたいと言っていたのを聞いたことがあります」
結局見にいけたのか、少年は知らなかった。
少年はずっと星を見ていて、それを頼りに生きてきたけれど、
星は少年のことをきっと、悲しいことだけれど、存在することさえ知らないのだ。
+
少年は限界でした。
ずっと昔から、ずっと限界でした。
悲しみは、けれど、解けない(溶けない)雪のように少年の背に降り積もり、
ついに重みで少年の心を潰しました。
少年は膝をつき、涙を流しました。
これまでずっと独りだったこと。
これから先もずっと独りだということに。
+
その存在は、違う摂理、原理を根拠、ルーツとしていました。
だから、少年が悲しんでいるということが分からなかったのかもしれません。
(ああ、水やりというのはそういうふうに行うものなのか)
とでも考えているかのように、興味深く、けれど少し離れた場所から
少年を見ていました。
それからまた呟きました。
(綺麗ねえ)
+
どのみち少年は全てを投げ出すことはできませんでした。
空に星が輝いているうちは、それすらも許されませんでした。