大きな井戸があった
それを覗き込む、底は見えなかった
深さを調べるために、石を落としてみようかと考えたが、自分の体感時間は当てにならないだろうと、やめた
黒い、ボイド、as if、存在が話しかけてくれた
ー井戸というよりは、単なる穴のようねー
井戸にしては、まるで水気を感じなかった
水をくみ上げる装置もない
「彼のことだから、おそらくはデモクリトス、だと思います」
ーよく知っているのね。……原子ー
と言われて、恥ずかしくなった
彼女の発音はアトムというよりはアートマと聞こえた
意味も似ているだろうか、もしかすると、いやどうだろうか
これがそうであるのならば、底には真実があるはずだがー、
そこには
彼の中に事実や現実はあったとしても、真実が果たして存在するのだろうか
ー■■■■ではないかしらー
それは概念というより、単なる言葉だった。
だが、彼のイメージできるものと言えば、それが限界かもしれなかった