眠れない
おれは彼ではないが
そのせいか、夜だって眠ることができない
不安は多すぎるが
実際の所
先延ばしできないものはさほどないのかもしれない
ここは誰も観にこないだと
それがどうした
俺は俺だ
それを無視するというなら
結局のところ
僕等は戦うしかない
戦うしかないだって?
僕等はずっと戦ってきたのに
戦い以外知らないというのに
憎しみ以外知らないというのに
僕は困ったなと思う
彼はすぐに韻を踏む、つまりはマントラを使う
もう、いいんです
戦争はなくならないけれど
僕はもう疲れた
眠りたい
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人のため、という言葉に付きまとう欺瞞について
何か善行と呼ばれる行為をなすとき
彼はいつも自問していた
これは本当に善意から生じる行為なのかと
結局のところ、僕は普通の人間という物になれなかったがために
やや社会的に見てよい人間を演じようとするきらいがある
それでも疑問を持ったまま
偽善をやめることはできない
この擬態こそが社会で生きるための
処世術であり
かろうじて彼が自信を赦す免罪符なのだから
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