
日記をつけ始めたきっかけは
明晰夢を見るためだった
いや、日記というよりも夢日記だ
それでどうなったか
どうにもなりはしなかった
ただ枕元に置かれた大学ノートが
厚みを増していくにつれ
僕はまあ、真理らしきものを得た
多分、俺には良くも悪くも
霊的な感受性がない
もしくはなくなってしまっている、という判り切ったことに
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同じころ
市の図書館で
アカシックレコードに到達する実践方法に書かれた本を借りた
いや借りる必要もなかったのだ
実践方法自体は
1ページにも満たないものだったから
俺はアカシックレコードに接続するのが本当は怖かったのかもしれない
だから鍵となる肉体はそれを敏感に察知し…
いや、結局俺には才能がなかっただけの話だ
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そしてこれが最後になる
アブラメリンの実践
そして駄目だった
俺は現実に希望がなかったから
夢に逃げようとした
現実に期待できなかったから
根源に戻ろうとした
意味を知ろうとした
そして最後
平田明を僕は確かめなければならなかった
そしてそれにも僕は失敗した
結局のところ、
なにでもないのだ
認めたくなかった
ベリアルではなく
俺は単なる無価値だ