少年、一人で夜空を見上げている
正確には、星を見ている。
いつの間にか、なにかがそばに立っていることに気付き挨拶をする。
ーこんばんはー
(こんばんは。実は、私の方の時間では朝なのだけれどね)

ー星の名前には『アル』が付くものが多いですねー
そんなことを少年は言ったので、その存在は少し考えてから言った。
(アルというのは、アラビア語の定冠詞ね。だからまあ……そういうこと)
あるいは、少年もそれを言おうとしていたのかもしれないと、その存在は思った。
ー昔読んだ本で……ー
それはその存在も読んだことのある本だった。
+
『ここ、日焼けの濃さが違う』
さらにあとから現れた、四足獣めいた存在がフンフンと少年の二の腕の匂いをかいだ。
少年は少し考えて、今日は普段より袖の短い服を着て、出歩いたことを思い出す。もちろん暑かった。
それからその存在は二の腕をなめた。少年はその頭を撫でながらお礼を言う。