自販機からは暖かい飲み物はすっかり消えてしまって
まだ肌寒い夜は途方に暮れるしかない。
夜の道を照らしてくれる外灯は、
もうすっかりLEDになってしまって白い光を放っている。
ああ、こういう白い光のことをケルビンが高いっていうんだって
彼が教えてくれた、そんなことを思い出す。
LEDは変換効率がよくて、無駄が少ないと彼が言っていた気がする。
私もそんな風に生きられたらいいのだけれど、と言おうとして言わなかった。
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でもLEDは直線的で(光が)温かくはならない。
一長一短だ、と言ってみたけれど、すぐにそうでもないかと思いなおす。
けれど指向性のある光というのは便利で、だからきっと色々なものを
見落としてしまうのだろうね、私は判ったようなこと言ってみる。
何もかも失った彼は、私の言葉を聞いて、笑ったような気がした。
あるいはそれは結局、ただの私の願望でしかなくて……願望でしかなかったのだ。
