流星群を撮ろうと思った
ビデオカメラを持って、河川敷の公園へ出かけた。
でも空は、晴れているのに、星が見えなくて僕は悲しくなった。
天気予報では晴れだと言っていて、実際晴れているのに、星が見えない。
ガスなのか、水蒸気なのか(それは雲では?)判らないけれど
原因は判らないけれど、結論は1つだ。
僕は流星群を撮ることができない。
「どうしたの?」
流星群が観えないんです。
「そうだね」
そうだね?
なんとかなりませんか。僕がそう訊くと彼は困ったように笑った。
「撮影しに来たんだね」
そうなんです。
「誰かに見せたいんだ」
見せたい? 僕はそんなことを言っていない、けれど。実際その通りだった。
見せたら、喜んでもらえるかもしれないんです。彼の目に哀れみが見えた気がした。
「その人のことが好きなんだね」
好き? そうだろうか。いや、でも、そうだ僕はその人に喜んでもらいたい、褒めてもらいたい。それは好き、という感情なのだろうか。
間違っていますか? いったい何の正誤を問うたのだろうか。でもその人はすごく考えて、それから言った。
「間違っているかは判らないけれど、君が望んだものは君がいくらその人のために尽くしたところで、ほんの僅かも手に入らないかもしれない。その可能性があるということを知っておかないといけない」
それはあなたがそうだったというだけではないですか、そう言いかけて止める。これは彼なりの忠告なのだ。誠意を持った。最大限の。そう思った時、
「泣かないで」
と言われて気づいた。ああ、僕は泣いてしまっていたんだ。
「星は綺麗だね」その言葉はまるで、人間は醜いと断言したように聞こえて、僕はまた泣いてしまった。泣きながら、最後にこう聞いた。
あなたはどうして、こんな世界で生きているんですか。
「それは、えっと……わからないんだ、もう。きっと、永久にわからない」
僕は泣いて、彼も泣いた。