夏の夕暮れは漠然と死の匂いがする。
そんなことを考えていると笑われた。
この人は読心術ができるから、だから厄介だ。
「なんだか花火みたいですね」とぼくが言うと
「普通に花火でしょう」と言った。
花火以外のなんだというのか、そう言いたげだった。
……例えば死んでしまった人への手向け、花束。
「花束、そう……」また心を読まれた。読心術とはONOFFができないのだろうか。
「
で、またミュンヒハオゼン……」呆れたようだった。
「ねえ、あの心読むのってなんか犯罪とかにならないんですかね?」なんとなくそう訊ねてみた。
たとえば目を塞いでいても花火の音は聞こえるように、耳を塞いでも震動は体に伝わるように、そう言ったものなのかもしれない。僕には判らないことだ、なにも。