雪が降っている。
今年ももう終わり。お疲れさまでした。
*
なんだか、雨って泣いているみたいだ。
ーー誰が?
……地球か、それか空の人。
ーー雪は?
……雪はわからない。
彼と歩きながら、話していて、途中で車を見つけた。
埋まっている。けれど、それと同時に露出している。
誰かが掘り起こして、掘り起こそうとして、諦めたのだ。
雪をどかすことはできる。
雪を下すことはできる。
でも、この辺りには明確な雪を捨てる場所がない。
だからこれ以上、手の打ちようがない。
*
ーーきっと、溶けるよ。
ほんと? と聞こうとしてやめる。彼が嘘なんてつくわけがないのだ。
*
寒いと彼のことを思い出す。
雪が降るとあの子のことを思い出す。
彼らと別れてから、天国があってほしいと思うようになった。
彼らはきっと、いや別に天国でなくてもいい、ただ幸せに暮らしていてほしいと思うようになった。
*
動かせないのなら、掘り返さない方がよかっただろうか。
でも、あの車はそれでやっと、息ができたのだ。