先日から言っていた定食屋さんが閉店する。
今日が最終営業日で、さっき定食の特盛を食べてきた。
特盛は、昔は難なく食べられていたのだけれど、もうつらい。
だって俺はもう××歳なんだからさ。ボチボチ死期だ。
皆には長く続けられている物って何かあるかい。
何にも長続きしない俺だけれど、この定食屋さんには10年弱、正確には9年通っていた。
珍しいよな。何もかも失い続けるだけの俺なのにさ。
続いた理由は、週刊誌や漫画が充実していて、食べ終わった後しばらく読んでいても、うるさく言われることはなかった。もちろん定食は美味しいし。
ここで定食を食べて、向かいのゲームセンターでロボットのゲームをして、終ったらゲーセン前の自販機でアイスクリームを買って食べる。
それは贅沢な日々だったな。
ゲームセンターは先月閉店して、定食屋も今日閉店する。
悲しい。悲しいけれどさ、永遠に続くものって何もないよな。
今あるお店はいつか閉店する。
今生きている人間は必ず死ぬ。
いや……遥かなるウトナピシュティムは死なないのかもしれないけれど。(これは受け売り)
俺だって死ぬよ。
そのとき、君が惜しんでくれたら嬉しいのかもしれない。
*
悲しいばかり言ってられないよな。
俺はもう居場所もすっかりなくなって、まるで山を追われた存在のようだって? そうかもしれないね。
君の声はもう聴こえない。
*
――仕事が嫌でさ。日曜日の夜、元気を出すために定食屋で特盛を頼んでいたんだ。いつも。だって行く所なんてないし、自炊したってさ、まずいし。
――それはお前が料理下手で、尚且つ馬鹿舌だからじゃないのか。
――まあ……。とにかく稼いでいるんだったら、外食だっていいものだよ。それで俺元気になってさ、頑張って。マラソン大会で3位になったりして、いろいろあって。勉強も頑張って資格も取ったし。
――何の役にも立たなかったな。
――そうだね。でもさ、頑張れたんだよ、俺。頑張れるってすごい事じゃない? 何にもならなかったとしても、全部無意味だったとしても、誰からも愛されなかったとしても。
ーーちゃんと挨拶できたかい?
――恥ずかしくて言えなかったんだ。でも、ごちそうさまって言った。いつもはっきり言えないんだけど、ちゃんとごちそうさまって言った。
*
だから俺は頑張らないと、ミシガンと決着をつける。
死ぬならAC6をクリアしてからだ。