――ねぇ、優れた人物のことを尊敬ってできますか。
――例えばあなたのこと?
ーーえ……、ああ、皮肉ですか。
――時間がないから、さっさとお話を終わらせよう。
つまりこういうことだな。
お前は眩しい存在を直視できない。
――それは自分の醜さが露(あらわ)になるから。
――お前は誰かを信仰できない。
――神々に救われたことは、なかったから。でもこれは嘘なのか。
――だれかに憧れると、目がつぶれてしまう。
お前は彼らを直視できない。
もしも彼らに近づこうものならお前の身は焼かれてしまうだろう。
――別にいいんです、それは。
ただ彼らの輝きに陰りが出る事、それは避けたいんです。
――嘘つき。
――はい。
――嘘つき。
――はい。
――なにか、誰かに言うことはあるか。
――日本は狭いし、外国は危険かもしれない。だったら別の星へ行こう。
別の☆平行。
別の星へ移行。
ーーどうやって?
――……。
結局彼はそれ以上、何も言えなかった。
何も言わなかった。